今のいじめは、 昔のいじめとは違います

大事なお子さんがいじめられているのではないかと感じるとき、

心配でたまらないと思います。

いじめの兆候を発見したとき、

また、幸いにもお子さんからいじめを聞き出せたとき。

気をつけたいのは

「いじめは昔からあった」

「いじめを乗り越えて強くなる」と事態を甘く見てしまうことです。

学校へ相談に行っても、なかなか学校は本当のことを話してくれません。

すると、「たいしたことではなかったのかも」

「様子を見よう」と思っているうちに、

取り返しのつかないことになってはたいへんです。

まず、「今のいじめは、昔のいじめと違う」ことを知ってほしいのです。

今のいじめは、陰湿で巧妙、そしてストーカーのようにつけ狙い、

犯罪と同じことがたくさん行われています。

その特徴は、

・いじめる方が、人数が多い

・孤立させられる

・ストーカー的(長期間継続する)

ひとことで表現するなら、今のいじめは「集団リンチ」なのです。

いったんターゲットにされると、徹底して孤立無縁となり、

クラス中一人も口をきいてくれない状態になります。

また、ターゲットが転校したり自殺するかを賭け、

ゲーム感覚で執拗に追いこんだりと、

もうジャイアンのような世界ではありません。

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●昔のいじめ(ジャイアン型)

いじめられる方が、人数が多い

→「いやだ、やめてほしい」という共感

→「やる方が悪い、乱暴者」という共通認識

・突発的

・単発性

●今のいじめ(大人数でたった一人を追いつめる)

「いじめる側にいた方が安全」

→共感がない。

→いじめられる方が孤立させられる。

・エンドレスに続く

・ケータイいじめのように24時間

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こんな状態の中で、お子さんがたった一人で闘うのは

しょせん無茶ではないでしょうか。

また、たいへん危険も伴います。

なんといってもいじめは多勢に無勢。

数が圧倒的に違います。

「みんなでやれば怖くない」で暴走している集団に、

被害者がどんなに一人でがんばっても限界があります。

また、ガマンしていると、いじめはエスカレートします。

そんな中で、いじめられる子は体も心も大きなダメージを追っている状態。

ケガをして松葉杖の人が、たった一人で40人を相手に闘わねばならないとしたら、

それは「強くなる」というより、残酷です。

考えてみてください。

一歩社会に出ると……

暴力を受けたりすると、警察が助けてくれます。

ケガをすれば、救急車が来て、病院が治してくれます。

恐喝などは、弁護士がサポートしてくれたり、

裁判所に訴えることもできます。

大人だって、たくさんの助けを借りて生きているのです。

しかし、いじめでは……

どんなひどいことをされても

大人数に対して、たった一人。多勢に無勢

体のケガも、体のケガ

心のケガも、心のケガ

自分で病院を探し、治療をするしかない。

しかもカウンセリングは高額で、

健康保健もききません。金銭的負担

加害者が集団で口裏を合わせるため、

裁判も立件が難しいのが現状。名誉毀損

孤立無援

被害者はあらゆる面で追い込まれます。

たとえどんなに強い人間であっても、

クラスぐるみでいじめが始まったら、

お子さん一人ではどうしようもありません。

いじめが起きたら、

いじめられている子どもまかせにするのではなく、

親や大人が、なるべく早く介入することが必要だと思います。

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