だからといって「包丁が悪い」
「包丁を日本中の家庭からなくそう」とはなりませんよね?
包丁は“道具”であって、
問題は“使う人”や“使い方”だからです。
ところがケータイでいじめが行われると、
「ネット社会が悪い」という評論家や、
「ケータイ禁止」という先生や学校の対応になりがちです。
そうすると子どもたちは、
「何が本当に悪いことなのか」がわからないのではないでしょうか?
(悪いのはケータイ)(自分は悪くない)
悪いのは“他人を攻撃する”ことであって、
道具は方法の一つでしかありません。
そして、リアルのいじめも、
ケータイいじめも、
犯罪行為だという意識がありません。
単に「ケータイを持たせない」のでは、問題の先おくり。
何が「してはいけない」ことなのかに、
きちんと向き合うことが
本当の安全対策ではないでしょうか。
昔、不幸の手紙というのが流行りました。
いま流行っているのが、不幸のメールです。
チェーンメールといいます。
ハガキや手紙がメールになっただけ。
やってることは同じです。
このチェーンメールが「ケータイを持たなければ」
解決するでしょうか?
それに、本人の知らない間に顔写真や住所が
勝手に危ないサイトに公表されるいじめも多いのです。
単に「見なければいい、知らなければいい」というのは、
むしろ危険に思えます。
いじめは放っておくとエスカレートするものだからです。
そして、正しい対応法をいつまでたっても知らないままです。
言い換えれば、
「知らない人に気をつける」
(家の外は知らない人がいっぱい)
(どう気をつければいいの?)
(わからない……)
危ないもの(悪い人、ケータイ)から離しても、
一生家の中では生きていけません。
「道を教えてくれる?」
「具合が悪いんだ。助けて」
「いっしょに犬を探してくれる?」
「こんなとき、どうする?」と具体的に聞いて……
「ちゃんとした大人は小さい子どもに
ものを頼んだりしないものよ。
困って見えても、自分一人で助けようとしないで、
近くの大人を呼んできなさい」
(そうなんだ。わかったよ)
きちんとした対応の仕方を教えれば、
それは知識として身につき、
自分を守ってくれます。
実際、犯罪者にインタビューすると、
「知識がない方が狙いやすい」
「対処を知っている子は
逃げるし、大人に言うし、バレやすいからな」
無知は、被害にあう危険性が高いのです。
犯罪もサギもいじめも、
具体的な対処法を知ることが大切です。